無料で使える誓約書のテンプレート10選!書き方や注意点も解説

2026年04月30日(木) テンプレート

誓約書は用途別のテンプレートを活用すれば、初めてでも正しい形式で作成できます。本記事では場面別テンプレート5種と、書き方・法的効力・注意点をまとめました。

そもそも誓約書とは、差出人が相手方に対して守るべき約束事項を一方的に記載し提出する文書です。契約書と異なり差出人のみが署名する点が特徴で、適切に作成すれば法的効力も認められます。

弊メディアを運営する中で、「部署ごとにテンプレートが乱立していて最新版がどれかわからない」「入社・退職時の誓約書を毎回ゼロから作っている」というご相談を多く受けます。そうした現場の課題をもとに、すぐに使える記入済みサンプルつきの本記事をまとめました。当社が提供するNotePMでは、こうしたテンプレートの一元管理にも活用いただいています。

場面別に使える誓約書テンプレート5選

誓約書のテンプレートはあくまで雛形であり、自社や自分の状況に合わせたカスタマイズが前提です。以下の早見表で5種類の特徴を確認してから、該当するH3の記入済みサンプルをご活用ください。

種類主な利用場面特に重要な条項
①一般的な誓約書取引先との約束・社内規定の遵守確認など幅広い用途秘密保持・法令遵守・反社排除
②入社時の誓約書雇用開始時に従業員の義務を明確化就業規則遵守・秘密保持・競業避止
③退職時の誓約書機密漏洩・顧客引き抜き・競業を防止情報返還・競業避止・顧客引き抜き禁止
④秘密保持誓約書(NDA)取引先・従業員への秘密情報の取り扱い義務付け秘密情報の定義・利用目的制限・有効期間
⑤金銭に関する誓約書個人間の金銭貸借・支払い約束の記録金額・返済期限・利息・遅延損害金

1. 一般的な誓約書

特定の場面に限定せず、取引先との約束や社内規定の遵守確認など幅広い用途で使える汎用型テンプレートです。入社・退職・NDAなどの場面特有の条項を追加する前の「土台」としても機能します。

盛り込むべき基本条項は以下のとおりです。

  • 業務上知り得た情報を第三者に開示・漏洩しない旨(秘密保持)
  • 関連する法令・規則を遵守する旨(法令遵守)
  • 反社会的勢力との関わりがないことの表明(反社排除)
  • 誓約内容に違反した場合の損害賠償責任
  • 紛争時の準拠法と管轄裁判所の指定
項目記入例
表題誓約書
宛先株式会社サンプル 代表取締役 山田太郎 殿
提出日令和7年4月1日
第1条(秘密保持)私は、業務上知り得た貴社および貴社の取引先に関する技術情報・顧客情報・経営情報その他一切の情報を、正当な理由なく第三者に開示または漏洩しないことを誓約いたします。
第2条(法令遵守)私は、業務の遂行にあたり、関連するすべての法令・規則および貴社の諸規程を遵守し、誠実に職務を遂行することを誓約いたします。
第3条(反社会的勢力の排除)私は、現在および将来にわたり、暴力団その他の反社会的勢力と一切の関係を持たないことを誓約いたします。
第4条(損害賠償)私は、本誓約書の各条項に違反し、貴社に損害を与えた場合、貴社が被った一切の損害(弁護士費用を含む)を賠償することを誓約いたします。
第5条(合意管轄)本誓約書に関する紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに同意いたします。
住所・氏名・押印住所:東京都〇〇区〇〇1-2-3 氏名:佐藤花子 ㊞

この汎用テンプレートをベースに、納期遵守や品質基準など場面特有の条項を追加すれば、多くのビジネスシーンに対応できます。条項を追加・削除する際は、内容が矛盾しないよう条番号を振り直すことを忘れないでください。

2. 入社時の誓約書

入社誓約書は、雇用開始時に従業員の義務を明確化し、退職後のトラブルを予防する目的で取得します。内定承諾から入社手続きまでの間に、雇用条件通知書とあわせて提出してもらう運用が望ましいでしょう。

主な条項は次のとおりです。

  • 会社の就業規則・諸規程に従う旨(就業規則遵守)
  • 在職中・退職後を問わず業務上の機密情報を漏洩しない旨(秘密保持)
  • 退職後一定期間、同業他社への就職や競合事業の立ち上げを行わない旨(競業避止)
  • 提出した履歴書・職務経歴書に虚偽があった場合の処分(経歴詐称対応)
  • 個人情報の適切な取り扱い
  • 違反時の損害賠償・合意管轄
項目記入例
表題入社誓約書
宛先株式会社サンプル 代表取締役 山田太郎 殿
提出日令和7年4月1日
第1条(就業規則の遵守)私は、貴社の就業規則および諸規程を熟知し、これを遵守するとともに、上長の指示に従い誠実に職務を遂行することを誓約いたします。
第2条(秘密保持)私は、在職中および退職後において、業務上知り得た貴社の技術情報・顧客情報・経営情報・人事情報その他の機密情報を、正当な理由なく第三者に開示・漏洩せず、かつ私的な目的に利用しないことを誓約いたします。
第3条(競業避止)私は、退職後2年間、貴社と同一または類似の事業を行う会社への就職および自ら競合事業を開始する行為を行わないことを誓約いたします。
第4条(経歴詐称)私は、入社に際して提出した履歴書・職務経歴書その他の書類に虚偽の記載がないことを誓約し、虚偽が判明した場合は貴社の就業規則に従い懲戒処分を受けることに同意いたします。
第5条(個人情報の取扱い)私は、業務上取り扱う個人情報を関係法令および貴社の個人情報管理規程に従って適切に管理し、目的外利用・無断提供を行わないことを誓約いたします。
第6条(損害賠償)私は、本誓約書の各条項に違反し貴社に損害を与えた場合、貴社が被った一切の損害(弁護士費用を含む)を賠償することを誓約いたします。
第7条(合意管轄)本誓約書に関する一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに同意いたします。
住所・氏名・押印住所:東京都〇〇区〇〇1-2-3 氏名:佐藤花子 ㊞

入社誓約書は入社時に取得しておくことが不可欠です。退職時に初めて提出を依頼しても従業員に拒否されるリスクがあるため、雇用開始前に内容を十分説明したうえで署名してもらいましょう。競業避止条項の有効性は制限の合理性によって判断されますので、期間・地域・職種の範囲は過度に広くならないよう設定してください。

3. 退職時の誓約書

退職時の誓約書は、機密情報の持ち出し防止・顧客の引き抜き防止・競業避止を目的として、退職する従業員に提出を依頼する文書です。入社時に誓約書を取得していなかった場合でも、退職時に提出を依頼すること自体は可能ですが、署名を強制できない点には留意してください。

含めるべき主な条項は以下のとおりです。

  • 退職後も在職中に知り得た機密情報を漏洩・使用しない旨(秘密保持)
  • 会社から貸与された資料・データ・機器をすべて返還する旨(資料返還)
  • 退職後一定期間、特定の地域・職種で競業活動を行わない旨(競業避止)
  • 在職中に担当した顧客への勧誘行為を行わない旨(顧客引き抜き禁止)
  • 違反時の損害賠償・合意管轄
項目記入例
表題退職誓約書
宛先株式会社サンプル 代表取締役 山田太郎 殿
提出日令和7年3月31日
第1条(秘密情報の保持)私は、退職後においても、在職中に業務上知り得た貴社の技術情報・顧客情報・経営情報・人事情報その他一切の機密情報を第三者に開示・漏洩せず、自己の利益のために利用しないことを誓約いたします。
第2条(資料・データの返還)私は、退職にあたり、貴社から貸与された資料・書類・データ・機器類(電子データを含む)の一切を返還し、自己が保有する複製物をすべて破棄することを誓約いたします。
第3条(競業避止)私は、退職後2年間、東京都・神奈川県において貴社と同一または類似する事業(ITコンサルティング業)を営む会社への就職および自ら同事業を開業する行為を行わないことを誓約いたします。
第4条(顧客引き抜きの禁止)私は、退職後2年間、在職中に担当した貴社の顧客に対して、貴社の競合となるサービスの勧誘・営業活動を行わないことを誓約いたします。
第5条(損害賠償)私は、本誓約書の各条項に違反し貴社に損害を与えた場合、貴社が被った一切の損害(弁護士費用を含む)を賠償することを誓約いたします。
第6条(合意管轄)本誓約書に関する一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに同意いたします。
住所・氏名・押印住所:東京都〇〇区〇〇1-2-3 氏名:佐藤花子 ㊞

競業避止条項を盛り込む場合は特に注意が必要です。経済産業省の『秘密情報の保護ハンドブック』参考資料5では、競業避止義務契約の有効性を判断する6つの要素として、①守るべき企業の利益、②従業員の地位、③地域的な限定、④存続期間、⑤禁止される競業行為の範囲、⑥代償措置を挙げています。これらが合理的な範囲でなければ、条項自体が無効と判断される可能性があります。

4. 秘密保持誓約書(NDA)

秘密保持誓約書は、取引先や従業員に対して秘密情報の取り扱い義務を定める文書です。双方が署名する秘密保持契約書(NDA)の簡易版として、一方が差し入れる形式で使われるケースが多く見られます。

主な条項は次のとおりです。

  • 何が秘密情報に該当するかの具体的な範囲(秘密情報の定義)
  • 秘密情報を指定された目的以外に使用しない旨(利用目的の制限)
  • 事前の書面による承諾なく第三者に開示しない旨(第三者開示の禁止)
  • 秘密情報の複製・改変を制限する旨(複製等の制限)
  • 契約終了時または相手方の求めに応じて秘密情報を返還・廃棄する旨(返還義務)
  • 秘密保持義務の存続期間(有効期間)
項目記入例
表題秘密保持誓約書
宛先株式会社サンプル 代表取締役 山田太郎 殿
提出日令和7年4月1日
第1条(秘密情報の定義)本誓約書において「秘密情報」とは、貴社から開示された技術情報・製品情報・顧客情報・財務情報・経営計画その他貴社が秘密として指定した情報、または客観的に秘密として取り扱われるべき一切の情報をいいます。
第2条(秘密保持義務)私は、秘密情報を厳重に管理し、貴社の事前の書面による承諾を得ることなく、第三者に開示・提供・漏洩しないことを誓約いたします。
第3条(目的外利用の禁止)私は、秘密情報を貴社との業務遂行の目的にのみ使用し、それ以外の目的に利用しないことを誓約いたします。
第4条(複製等の制限)私は、秘密情報を業務上必要な範囲に限り複製・記録することができますが、その複製物についても本誓約書の規定と同等の管理を行うことを誓約いたします。
第5条(有効期間)本誓約書の秘密保持義務は、私が貴社との業務委託契約または雇用契約を終了した日から3年間存続するものとします。
第6条(損害賠償)私は、本誓約書の各条項に違反し貴社に損害を与えた場合、貴社が被った一切の損害(弁護士費用を含む)を賠償することを誓約いたします。
第7条(合意管轄)本誓約書に関する一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに同意いたします。
住所・氏名・押印住所:東京都〇〇区〇〇1-2-3 氏名:佐藤花子 ㊞

公的な雛形としては、経済産業省が公開している『秘密情報の保護ハンドブック』参考資料2が参考になります。秘密情報の定義が曖昧だと、情報漏洩が発生した際に「その情報は秘密情報に該当しない」と争われるおそれがあります。対象となる情報のカテゴリ(技術情報、顧客情報、経営情報など)を具体的に列挙しておきましょう。

5. 金銭に関する誓約書

個人間の金銭貸借や支払い約束は口頭でも成立しますが、口約束だけではトラブル発生時に証拠が残りません。金銭に関する誓約書を交わしておけば、貸借の事実と返済条件を明確に記録できます。

記載すべき項目は以下のとおりです。

  • 貸借金額(漢数字〈壱、弐、参など〉で改ざんを防止する)
  • 返済期限(「令和○年○月○日まで」と具体的な日付を明記)
  • 利息(年利○%の形式で記載。利息制限法の上限に注意)
  • 返済が遅れた場合の遅延損害金率
  • 返済方法(一括か分割か、振込先口座の情報)
項目記入例
表題金銭消費貸借誓約書
宛先山田太郎 殿
提出日令和7年4月1日
借入金額金参拾万円也(300,000円)
第1条(借入の確認)私は、本日、貴殿より金参拾万円也(300,000円)を借り受けたことを確認し、下記の条件にて返済することを誓約いたします。
第2条(返済期限)私は、上記借入金を令和7年9月30日までに一括にて返済することを誓約いたします。
第3条(利息)利息は年利3.0%とし、返済日に元金とともに支払うことを誓約いたします。
第4条(遅延損害金)返済期限を過ぎた場合、残元金に対し年14.6%の遅延損害金を支払うことを誓約いたします。
第5条(返済方法)返済は、下記口座への振込によるものとします。銀行名:〇〇銀行 支店名:〇〇支店 口座番号:1234567 名義:ヤマダ タロウ
住所・氏名・押印住所:東京都〇〇区〇〇1-2-3 氏名:佐藤花子 ㊞

高額な貸借の場合は、公証役場で公正証書にすることも選択肢の一つです。公正証書に「強制執行認諾条項」を付けておけば、返済が滞った際に裁判手続きを経ずに強制執行を申し立てられます。利息は利息制限法(元本10万円未満:年20%、10万円以上100万円未満:年18%、100万円以上:年15%)の上限を超えないよう確認してください。

誓約書の書き方と記載すべき項目

誓約書は大きく「ヘッダー(表題・宛先・日付)」「本文(条文)」「フッター(署名・押印)」の3パートで構成されます。テンプレートをダウンロードしたら、以下の構成チェックリストを参照しながらカスタマイズしてください。

パート記載項目記入例・ポイント
ヘッダー表題「誓約書」または「秘密保持誓約書」など用途名を冠する
ヘッダー宛先株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 殿(正式名称・フルネーム。略称・通称は不可)
ヘッダー日付令和〇年〇月〇日(作成日ではなく提出日を記入)
本文条文(条番号)第1条〜と条番号を付け、対象・期間・行為を具体化。複数の約束事項は条ごとに分ける
本文損害賠償条項「本誓約に違反し甲に損害を与えた場合、甲が被った一切の損害(弁護士費用を含む)を賠償する」と賠償範囲を明記
本文合意管轄条項「〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」と紛争時の管轄を指定
フッター住所・氏名自署(手書き)が望ましい。筆跡が本人確認の根拠になる
フッター押印認印で可。重要書類は実印+印鑑証明書を添付すると証拠力が高まる

1. 表題・提出先・日付を記入する

表題は「誓約書」とシンプルに記載するのが一般的です。内容を明示したい場合は「秘密保持誓約書」「入社誓約書」のように用途を冠しても問題ありません。

宛先(提出先)は正式名称で記載します。法人宛なら「○○株式会社 代表取締役 ○○殿」、個人宛なら「○○ 殿」とフルネームを書きましょう。略称や通称は避けてください。

日付欄には、作成日ではなく実際の提出日を記入します。提出日と作成日がずれていると効力の発生時点で疑義が生じるおそれがあります。宛先の右下、または文書冒頭に「令和○年○月○日」と記入するのが標準的な書式です。

2. 誓約内容を条文にまとめる

誓約事項は「第1条」「第2条」と条番号を付けて整理します。複数の約束事項を一つの文章にまとめると、違反時にどの部分に抵触したのか特定しにくくなるため、項目ごとに条を分けるのが原則です。

条文の書き方で特に注意したいのが、曖昧な表現の回避です。

NG例:「甲に対して一切の不利益行為をしない」

OK例:「退職後2年間、東京都内において甲と同一の業種(ITコンサルティング業)に従事しない」

「一切の不利益行為」のような抽象表現では何が違反に該当するか判断できず、争いになった際に実効性を失います。「期間」「場所」「行為の内容」を具体的に書き込みましょう。

損害賠償条項を設ける場合も同様です。「違反した場合は損害を賠償する」だけでは不十分なため、「本誓約に違反し甲に損害を与えた場合、甲が被った一切の損害(弁護士費用を含む)を賠償する」のように賠償範囲を明記してください。

3. 署名・押印を行う

条文の記載が終わったら、文書末尾に差出人の住所・氏名を自署(手書き)し、押印します。押印は認印でも法的効力を持ちます。ただし実印を使用して印鑑証明書を添付すれば、「本人が確かに署名した」という証拠力が格段に高まるため、金銭貸借や競業避止など重要度の高い誓約書では実印の使用を検討してください。

「パソコンで作成した誓約書は無効になるのか」と心配する方もいますが、印刷した誓約書でも法的効力に問題はありません。ただし署名欄だけは自署(手書き)が望ましいとされており、筆跡が残ることで本人が作成・提出した事実の証明がしやすくなります。

署名・押印が完了したら、差出人が相手方に原本を提出し、コピーを控えとして受け取ってください。双方が内容を手元で確認できる状態にしておくことが大切です。

誓約書の法的効力と契約書・念書・覚書との違い

テンプレートで誓約書を作成したものの、「個人が作った誓約書に本当に法的効力があるのか」と不安を感じる方は少なくないでしょう。結論から言えば、誓約書には法的効力があります。

誓約書の法的効力

誓約書は法律で定義された文書ではありませんが、裁判で証拠として機能します。

弁護士法人えそらの解説では、「誓約書という言葉自体は法律上の定義があるわけではありませんが、当事者の意思の内容を書面に顕したものとして一定の証拠価値がありますし、誓約書の差し入れと受領により誓約書を差し入れた人と受領した人の間に一定の合意・契約があると認められることが多い」と述べられています。差出人の意思を書面に残したものとして証拠価値があり、差し入れと受領という行為が一種の合意形成と見なされるわけです。

誓約内容に違反した場合は、相手方が損害賠償を請求する際の根拠にもなり得ます。書式や作成方法ではなく、記載された内容と署名の有無が効力を左右します。

ただし、すべての誓約書が無条件に有効というわけではありません。内容が公序良俗に反していたり、署名が脅迫によるものであったりすれば、民法の規定により無効・取消しの対象となります(後述の「誓約書が無効になる3つのケース」を参照)。

契約書・念書・覚書との違い

誓約書と混同されやすい書類に、契約書・念書・覚書があります。「誰が署名するか」を軸に整理すると、違いが明確です。

書類名署名者主な用途法的効力
誓約書差出人のみ一方が守るべき約束を表明あり
契約書当事者双方双方の権利義務を合意あり
念書差出人のみ事実確認や約束の記録あり(証拠力はやや弱い)
覚書当事者双方契約書の補足・変更事項の合意あり

誓約書と念書はどちらも差出人のみが提出する文書ですが、誓約書は「義務を遵守する」という宣誓の意味合いが強い点が異なります。念書は事実の確認や金銭の受領記録など、より広い用途で使われます。

契約書は双方が署名・押印するため、法的拘束力の根拠がより明確です。相手方にも義務を負わせたい場合は、誓約書ではなく契約書を選びましょう。覚書は既存の契約内容を一部変更・補足する際に用いる書類で、単独ではなく元の契約書とセットで運用するのが一般的です。

どの書類を使うか迷ったら、「相手にも義務を課すかどうか」で判断してください。自分だけが約束する形なら誓約書、双方に義務が生じるなら契約書が適しています。

誓約書作成で押さえたい3つの注意点

テンプレートを記入した後、提出前に確認しておきたいチェックポイントが3つあります。これらを見落とすと、せっかく作成した誓約書が争いの際に実効性を失う可能性があります。

1. 誰が読んでも同じ解釈ができる表現にする

誓約書の条文は、第三者が読んでも一つの意味にしか解釈できない表現で書く必要があります。

NG例:「在職中に知り得た情報を一切漏らさない」

OK例:「在職中に知り得た顧客名簿、売上データ、製品設計図などの営業秘密を、退職後5年間、第三者に開示しない」

抽象的な表現は、争いの際に「何が対象情報なのか」「いつまで義務が続くのか」で解釈が分かれ、誓約書の実効性が低下します。対象・期間・行為の範囲を具体的に限定してください。

2. 関連する法律との整合性を確認する

誓約書の内容が法律に抵触していると、その条項は無効になります。代表的な例が競業避止条項です。

厚生労働省の裁判例解説によれば、競業避止特約の有効性は「制限する期間、場所的な範囲及び職種の範囲、代償の有無等について、企業の利益と退職者の不利益等から判断」されます。たとえば「退職後10年間、全国で同業種への就職を一切禁止する」という条項は、期間・地域ともに広すぎて無効と判断される可能性が高いでしょう。

制限は合理的な範囲にとどめ、可能であれば退職金の上乗せなど代償措置も設けるのが有効性を高めるポイントです。条項の有効性に不安がある場合は、弁護士へのリーガルチェック依頼も検討してください。

3. 署名・押印の漏れを最終チェックする

署名や押印の漏れは、誓約書の証拠力を大きく低下させます。提出前に以下の項目を確認してください。

  • 差出人の住所・氏名が自署されているか
  • 押印がされているか
  • 日付(提出日)が記入されているか
  • 宛先の氏名・名称に誤りがないか

誓約書が無効になる3つのケース

前章の注意点を守っていても、以下の3つのケースに該当すれば誓約書は法的に無効または取消しの対象となります。作成後の最終確認として活用してください。

1. 公序良俗に反する内容(民法90条)

民法90条は「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」と定めています。社会通念上許容されない内容の誓約書は、この規定により効力を持ちません。

たとえば以下のような条項が該当する可能性があります。

  • 退職後の一切の就業を永久に禁止する条項
  • 不当に高額な違約金(年収の数倍など)を課す条項
  • 法律で認められた権利の行使を全面的に制限する条項

テンプレートをカスタマイズする際に制限を厳しくしすぎると、公序良俗違反で無効になるリスクが生じます。「この制限は社会通念に照らして妥当か」という視点を忘れないようにしましょう。

2. 詐欺・脅迫で署名させた場合(民法96条)

相手を騙したり脅したりして署名させた誓約書は、取り消しの対象です。民法96条が「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」と規定しており、自由な意思に基づかない署名は保護されません。

実務で問題になりやすいのは以下のようなケースです。

  • 退職届と同時に、半ば強制的に誓約書へ署名させる
  • 「署名しなければ懲戒解雇にする」と脅して署名させる
  • 「形式的なものだから」と虚偽の説明で署名を取り付ける

企業として誓約書を受け取る場合、署名の任意性を確保することが欠かせません。十分な検討時間を与え、内容を説明したうえで署名してもらう運用を徹底してください。

3. 未成年者が保護者の同意なく署名(民法5条)

18歳未満の未成年者が法定代理人の同意なく署名した誓約書も、取り消しの対象となります。民法5条は「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」と定め、同条第2項で「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる」としています。

2022年4月の民法改正で成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたため、現在の「未成年者」は18歳未満を指します。個人間の金銭貸借の誓約書や、アルバイトの入社誓約書で18歳未満が当事者となるケースでは、法定代理人(通常は親権者)の同意を事前に得てください。同意がなければ、後から本人または法定代理人が取り消すことが可能です。

まとめ

誓約書は、用途に合ったテンプレートを選び、書き方のルールに沿ってカスタマイズすれば、個人でも法的に有効な文書を作成できます。本記事では、テンプレートの選択から書き方・法的効力の確認・注意点のチェックまでを一通り取り上げました。

特に押さえておきたいポイントは3つです。

  • テンプレートをそのまま使わず、自分の状況に合わせて条項をカスタマイズする
  • 曖昧な表現を避け、誰が読んでも同じ解釈ができる具体的な文言にする
  • 公序良俗に反する内容や強制的な署名は無効・取消しの原因になる

当社が提供するNotePMでは、入社・退職・NDAなど複数の誓約書テンプレートを最新版のまま一元管理でき、Word・PDF・Excelファイルの中身まで全文検索できるため、必要な書式に素早くたどり着けます。30日間の無料トライアル(自動課金なし)も用意していますので、テンプレート管理の運用を整えたい方はまず試してみてください。

誓約書の作成は一度きりではなく、採用・退職・取引開始など節目ごとに繰り返し発生します。正しい書き方と管理の仕組みを整えておくことが、長期的なトラブル防止につながります。