
目標管理シートのテンプレートは、「目標」「評価基準」「達成期限」「行動計画」「結果」「振り返り」の6項目を基本に構成します。この6項目を押さえておくだけで、設定から評価までの流れが一枚のシートで完結し、人事評価の透明性が格段に高まります。
目標管理シート(MBOシート)とは、従業員が設定した業務目標とその達成度を記録・管理するためのツールです。上司と部下が目標内容と評価基準を事前に合意しておくことで、評価面談でのすれ違いを減らし、納得感のある人事評価につながります。本記事では、すぐ使えるテンプレートから各項目の書き方・職種別の記入例・運用時の注意点まで体系的に整理しています。
弊メディアでは社内wikiツールNotePMを提供しており、テンプレート機能を使って目標管理シートのフォーマットや記入例を全社で統一管理できます。ExcelやGoogleスプレッドシートで個別管理している状態から脱却したい方は、ぜひ参考にしてください。

目次
目標管理シートのテンプレート(基本フォーマット)
まずはコピペしてすぐ使える基本テンプレートを提示します。以下の表はExcel・Googleスプレッドシート・社内wikiのいずれにも貼り付けて活用できます。「記入例」列は実際の運用イメージをつかむための参考として、自社の業種・評価制度に合わせてカスタマイズしてください。
| 項目 | 記入のポイント | 記入例 |
| 目標 | 「何を・どの程度・いつまでに」の3要素を含める | 第3四半期に新規顧客売上を前年同期比120%達成する |
| 評価基準 | 期初に上司と合意し、5段階等で明示する | 120%以上:S、110〜119%:A、100〜109%:B、90〜99%:C、90%未満:D |
| 達成期限 | 中間マイルストーンも併記する | 2025年9月末(中間:2025年7月末に80%進捗) |
| 行動計画 | 「何を・いつ・どのように」の3要素で記述する | 週4件の新規訪問、月初に翌月計画策定、月次で上司報告 |
| 結果 | 数値で記録し、目標値との比較を明記する | 新規顧客売上:前年比118%(目標120%、達成率98%) |
| 振り返り | 良かった点・改善点・次期アクションの3部構成で書く | 訪問頻度UPで関係構築が進行(良)/提案書品質にばらつき(改)/次期はレビュー体制を導入(次) |
この基本テンプレートは、MBO(目標管理)・OKR・人事考課など、どの評価制度にも応用できる汎用型です。自社の評価制度に「ウェイト(重み付け)」「上司コメント」「スキル評価」などの列が必要な場合は、項目を追加してカスタマイズしてください。
【無料】目標管理シートのテンプレート・例文10選
ここでは、無料で使える目標管理シートのテンプレートと例文10選を紹介します。
| 目標管理シートの種類 | Wordファイル |
|---|---|
| 基本型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
| 数値目標型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
| 月次チェック型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
| プロジェクト型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
| スキル向上型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
| 課題解決型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
| 行動改善型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
| チーム貢献型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
| 長期目標型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
| 自己啓発型の目標管理シート | ダウンロードする(個人情報入力なし) |
基本型だけでなく、さまざまな用途にあわせたテンプレートと例文を用意したので、ぜひ参考にしてみてください。
基本型の目標管理シート
基本型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
基本型の目標管理シートのテンプレート
| 目標 | (具体的な目標内容) |
| 達成基準 | (目標の達成基準を記入) |
| 達成期限 | (いつまでに達成するかを記入) |
| 進捗状況 | (現時点の進捗を記入) |
基本型の目標管理シートの例文
| 目標 | 新規取引先を5社獲得する |
| 達成基準 | 毎月最低1社以上契約 |
| 達成期限 | 2025年9月末まで |
| 進捗状況 | 現在2社契約済み(残り3社必要) |
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数値目標型の目標管理シート
数値目標型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
数値目標型の目標管理シートのテンプレート
| 目標(数値) | (数値で表した具体的な目標) |
| 評価指標 | (評価に用いる指標を記入) |
| 達成期限 | (達成期限を記入) |
| 現状数値 | (現時点での数値を記入) |
数値目標型の目標管理シートの例文
| 目標(数値) | 半期の売上目標 1,500万円 |
| 評価指標 | 月間売上額の累計 |
| 達成期限 | 2025年9月30日 |
| 現状数値 | 現在800万円(目標比53%達成) |
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月次チェック型の目標管理シート
月次チェック型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
月次チェック型の目標管理シートのテンプレート
| 今月の目標 | (当月の具体的目標) |
| アクションプラン | (達成のための具体的行動) |
| 達成の指標 | (目標達成を評価する基準) |
| 次回確認日 | (進捗の確認を行う日付) |
月次チェック型の目標管理シートの例文
| 今月の目標 | 顧客からの問い合わせ対応速度の改善 |
| アクションプラン | 24時間以内にすべての問い合わせに回答する |
| 達成の指標 | 24時間以内の回答率を90%以上にする |
| 次回確認日 | 2025年5月31日 |
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プロジェクト型の目標管理シート
プロジェクト型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
プロジェクト型の目標管理シートのテンプレート
| プロジェクト名 | (プロジェクト名を記入) |
| 具体的な成果物 | (求められる成果物を記入) |
| スケジュール | (実施期間を記入) |
| 完了時の評価基準 | (評価する基準を記入) |
プロジェクト型の目標管理シートの例文
| プロジェクト名 | 新Webサイトリニューアル |
| 具体的な成果物 | サイトの公開、運用マニュアル作成 |
| スケジュール | 2025年4月〜7月 |
| 完了時の評価基準 | 期日内のリリースとマニュアルの完成 |
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スキル向上型の目標管理シート
スキル向上型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
スキル向上型の目標管理シートのテンプレート
| スキル名 | (向上させるスキル名) |
| 具体的な取り組み内容 | (取組の内容) |
| 評価方法 | (どのように評価するか) |
| 期間 | (取り組む期間を記入) |
スキル向上型の目標管理シートの例文
| スキル名 | プレゼンテーション能力 |
| 具体的な取り組み内容 | 月1回社内勉強会でプレゼン |
| 評価方法 | アンケート評価で80%以上を獲得 |
| 期間 | 2025年4月~2025年9月 |
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課題解決型の目標管理シート
課題解決型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
課題解決型の目標管理シートのテンプレート
| 課題 | (解決すべき課題) |
| 解決策・施策 | (課題を解決する方法を記入) |
| 期待される結果 | (解決後に期待される状態) |
| 達成時期 | (目標の達成期限) |
課題解決型の目標管理シートの例文
| 課題 | 在庫管理の不備による欠品発生 |
| 解決策・施策 | 在庫管理システム導入と研修の実施 |
| 期待される結果 | 欠品発生率をゼロにする |
| 達成時期 | 2025年8月末 |
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行動改善型の目標管理シート
行動改善型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
行動改善型の目標管理シートのテンプレート
| 改善すべき行動 | (改善すべき行動を記入) |
| 具体的なアクション | (改善するための具体的行動を記入) |
| 改善後の期待結果 | (行動改善後に得られる結果を記入) |
| 評価時期 | (評価を行う時期を記入) |
行動改善型の目標管理シートの例文
| 改善すべき行動 | 報告書の提出期限遅れ |
| 具体的なアクション | 締切日前日にリマインダを設定 |
| 改善後の期待結果 | 提出遅延ゼロ |
| 評価時期 | 2025年6月末 |
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チーム貢献型の目標管理シート
チーム貢献型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
チーム貢献型の目標管理シートのテンプレート
| チーム目標への貢献内容 | (チームへの貢献内容) |
| 具体的な行動 | (行動計画を記入) |
| 成果の測定基準 | (成果の判断基準を記入) |
| 振り返り時期 | (評価・振り返り時期) |
チーム貢献型の目標管理シートの例文
| チーム目標への貢献内容 | 新入社員の育成支援 |
| 具体的な行動 | 毎週メンターとして面談 |
| 成果の測定基準 | 3ヶ月後に新人が独力で業務遂行可能な状態 |
| 振り返り時期 | 2025年7月末 |
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長期目標型の目標管理シート
長期目標型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
長期目標型の目標管理シートのテンプレート
| 長期的なキャリア目標 | (最終的なキャリア目標) |
| 今期の具体的ステップ | (今期の具体的な行動) |
| 中間チェック時期 | (中間評価の時期) |
| 年度末の達成基準 | (年度末の評価基準) |
長期目標型の目標管理シートの例文
| 長期的なキャリア目標 | 管理職への昇格 |
| 今期の具体的ステップ | 小規模チームのリーダー業務を担当 |
| 中間チェック時期 | 2025年9月末 |
| 年度末の達成基準 | チームの目標を100%達成 |
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自己啓発型の目標管理シート
自己啓発型の目標管理シートのテンプレートと例文は、以下のとおりです。
自己啓発型の目標管理シートのテンプレート
| 自己啓発目標 | (目標内容を記入) |
| 具体的な行動計画 | (取り組み計画) |
| 評価指標・自己評価方法 | (評価方法) |
| 取り組み期間 | (期間) |
自己啓発型の目標管理シートの例文
| 自己啓発目標 | TOEICスコア750点 |
| 具体的な行動計画 | 毎日1時間の英語学習 |
| 評価指標・自己評価方法 | TOEICスコアで評価 |
| 取り組み期間 | 2025年4月〜2025年11月 |
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目標管理シートに記載する6つの基本項目

前章のテンプレートを構成する6項目について、それぞれの役割と記入のポイントを詳しく解説します。各項目の意味を理解しておくと、自社用にカスタマイズする際の判断基準になります。
- 目標:何を達成するかを具体的に記載する欄
- 評価基準:どの水準で「達成」とみなすかを事前に合意しておく欄
- 達成期限:いつまでに達成するかを明記する欄
- 行動計画:目標に向けた具体的なアクションとスケジュールを記載する欄
- 結果:期末時点の実績を事実ベースで記録する欄
- 振り返り:プロセスの分析と次期に向けた改善アクションを記載する欄
事業特性や評価制度によって、「ウェイト(重み付け)」「上司コメント」「スキル評価」などの列を追加して運用している企業も多くあります。自社の制度に合わせた項目追加・削除は積極的に行ってください。
1. 目標(何を達成するか)
「売上を伸ばす」「顧客満足度を上げる」のような記述は、目標管理シートにおける典型的なNG例です。何をもって「伸びた」「上がった」とするのかが曖昧なため、期末に評価の根拠として機能しません。
目標欄に書く内容は「何を・どの程度・いつまでに」の3要素を含む構造が基本です。たとえば「第3四半期の新規顧客売上を前年比120%にする」のように記載すると、達成か未達成かを誰が見ても判断できます。
1枚のシートに書く目標数は2〜4個が目安です。多すぎると何に注力すべきかが曖昧になります。
2. 評価基準(どの水準で「達成」とするか)
評価基準がないシートは、「どこまでやれば達成扱いになるのか」が不透明なまま期末を迎えます。結果として、評価面談で上司と部下の認識がずれ、不満の温床になりやすい構造です。
具体的な形式としては、5段階評価(S/A/B/C/D)や達成率(120%以上/100%/80%以上/60%以上/60%未満)などがよく使われます。目標設定の時点で上司と部下が合意しておくことが鍵で、評価面談での「言った・言わない」を防ぐ効果があります。
評価基準欄は、期初に目標欄と一緒に記入・合意するのが理想的です。期末に後付けで基準を決めると、評価の客観性が失われます。
3. 達成期限
達成期限は「年度末まで」「上半期末まで」のように、四半期・半期・年度単位で設定するのが一般的です。組織の評価サイクルに合わせた期限設定が基本になります。
最終期限だけを記載するのではなく、「〇月末時点で80%達成」「中間レビュー時点で計画通り進行中」のようなマイルストーンを併記すると、進捗管理がしやすくなります。特に年単位の長期目標の場合、中間マイルストーンがないと確認のタイミングが曖昧になり、期末に初めて遅れを認識するリスクがあります。
4. 行動計画(具体的なアクションとスケジュール)
目標だけが書かれたシートは、達成までの道筋が不明確なため「願望の記録」に近い状態です。行動計画欄を設けることで、目標を実現するための具体的なアクションが明確になります。
行動計画は「何を」「いつまでに」「どのように」の3要素で記述するのが基本です。たとえば「毎週3件の新規顧客訪問を実施し、月次で進捗を振り返る」のように書くと、週単位の行動レベルに落とし込めます。
また、行動計画が具体的であるほど、中間レビューでの対話がしやすくなります。「計画通りに動けているか」「障害が発生していないか」を確認するための素材として機能するためです。
5. 結果
結果欄は事実ベースで記録することが原則です。数値化できる成果は必ず数値で記入し、「新規顧客売上:前年比118%(目標120%)」のように目標値との比較を明記すると、達成度が一目でわかります。
定量成果(売上額・件数・率など)と定性成果(顧客からの好評価・社内プロセスの改善など)は分けて記録するのが望ましい形です。定性成果は「どのような状態になったか」を具体的な言葉で表現します。
未達成の場合も「なぜ届かなかったか」の原因分析を1〜2行添えることを勧めます。原因が記録されているシートは次期の目標設定をより精度の高いものにする資産になります。
6. 振り返り・自己評価
振り返り欄は「できた・できなかった」の結果報告を書く欄ではありません。「なぜできたのか」「なぜ届かなかったのか」というプロセスの分析を書く欄です。
書く構造として「良かった点・改善点・次期に活かすアクション」の3部構成を使うと、記入内容が整理されやすくなります。たとえば「顧客訪問頻度を上げたことで関係構築が進んだ(良かった点)。一方で、提案書の質にばらつきがあった(改善点)。次期は提案書のレビュー体制を設ける(次期アクション)」のような形です。
上司との評価面談では、この振り返り欄が対話の出発点になります。上司が一方的に評価を伝える場ではなく、部下の自己認識を踏まえた双方向の対話を引き出すための材料として機能します。

評価につながる目標の書き方 4つのポイント

6つの基本項目を理解したうえで、次に問われるのは「では具体的にどう書くか」です。「目標欄に何を書けばいいかわからない」「毎期同じような目標になってしまう」という悩みには、4つの実践ポイントが効きます。
4つのポイントはそれぞれ独立して適用できます。すべてを同時に意識する必要はなく、自分の課題感に合ったものから取り入れてみてください。
- SMARTの法則で目標の曖昧さをなくす
- 定量化が難しい職種はプロセス指標を活用する
- 目標の数は2〜4個に絞り込む
- 組織目標とのつながりを明記する
1. SMARTの法則で目標の曖昧さをなくす
目標の曖昧さを解消する代表的なフレームワークがSMARTの法則です。5つの頭文字から成り、目標文を構成する要素を整理する際の基準として広く使われています。
| 要素 | 意味 | 確認のポイント |
| S(Specific) | 具体的 | 「何を」達成するかが明確か |
| M(Measurable) | 測定可能 | 達成・未達成を数値で判断できるか |
| A(Achievable) | 達成可能 | 現実的に達成できる水準か |
| R(Relevant) | 関連性 | 部門・組織の目標と連動しているか |
| T(Time-bound) | 期限付き | いつまでに達成するかが明確か |
5要素のなかで特に重要なのは、S(具体的)とM(測定可能)の2点です。この2つを満たすだけで、目標文の質は大きく変わります。
例として「売上を伸ばしたい」という目標をSMART変換すると、「第3四半期に新規顧客への提案件数を月12件以上達成し、受注率30%を維持することで、前期比110%の新規売上を獲得する」のような目標文になります。期末に「達成か否か」を客観的に判断できる状態になります。
SMARTの法則以外にも、ベーシック法(目標・理由・達成基準・期限の4点で整理する手法)やランクアップ法など、目標設定を構造化するフレームワークは複数存在します。SMARTが合わないと感じる場合は他の手法を試してみる価値があります。
2. 定量化が難しい職種はプロセス指標を活用する

パーソル総合研究所が2021年に実施した「人事評価・目標管理に関する調査」では、従業員の目標管理制度への不満として「目標を定量化するのが難しい」が約6割と最も多い回答でした(出典:パーソル総合研究所「人事評価・目標管理に関する調査結果」2021年)。「売上」や「受注件数」が設定しやすい営業職とは異なり、事務・総務・人事・経理・研究開発などのポジションでは、この悩みが特に深刻です。
解決の鍵は「定量化=売上や件数」という思い込みを外すことです。プロセス指標を活用することで、多くの業務を客観的に測定できます。
プロセス指標の具体例を挙げます。事務職なら「月次経費精算の入力ミス発生率を現状の1%以下から0.3%以下に改善」、総務なら「社内問い合わせ対応の平均回答所要時間を48時間以内から24時間以内に短縮」、研究開発なら「実験プロトコルの手順書を〇件整備する」などが使えます。
どうしても数値化できない業務については、「〇〇の状態を実現する」という定性的な達成基準の設定も有効です。「新入社員が自立して業務を遂行できる状態をOJT終了後3ヶ月以内に実現する」のように、観察可能な状態変化を基準にすれば、評価面談での対話に使えます。
3. 目標の数は2〜4個に絞り込む

目標管理シートに設定する目標の数は、2〜4個が適切とされています。注力すべき対象を絞ることで、リソースを分散させずに成果を出しやすくなるためです。
目標を5個以上設定した場合の典型的な失敗パターンがあります。期中に進捗が遅れても「どれを優先すべきか」の判断がつかず、結果としてすべてが中途半端な達成率で終わるケースです。目標の数が増えるほど、一つひとつへの集中度が下がります。
やむを得ず複数の目標を設定する場合は、目標ごとにウェイト(重み付け)を設定する方法も使えます。「目標A:50%、目標B:30%、目標C:20%」のように重み付けをすることで、注力すべき優先順位が明確になり、最終的な総合評価の算出も容易になります。
4. 組織目標とのつながりを明記する

個人の目標が組織の方向性と無関係に設定されていると、「なぜこの目標を達成する必要があるのか」という問いに答えられない状態になります。目標に対するモチベーションが低下しやすく、評価面談でも上司の納得を得にくくなります。
目標設定の理想的な構造は、会社目標→部門目標→個人目標のカスケード(段階的な連鎖)です。会社が「今期は既存顧客のLTV向上に注力する」という方針を掲げているなら、部門は「既存顧客へのアップセル率向上」、個人は「担当顧客のアップセル提案件数を月〇件達成」のようにつながります。
実践的なテクニックとして、目標文の冒頭に「部門方針〇〇に基づき」の一文を添える書き方があります。「部門方針『既存顧客との関係深化』に基づき、担当顧客への定期レビュー実施率を100%に引き上げる」のように書くと、個人目標と組織目標のつながりが可視化され、上司との認識合わせがスムーズになります。
目標管理シートの形骸化を防ぐ3つの運用ルール

目標管理シートの品質をいくら高めても、運用が「書いて終わり」になってしまっては効果は出ません。パーソル総合研究所の調査では、目標管理制度に対する課題として「モチベーションを引き出せていない」「成長・能力開発につながっていない」と回答した企業が半数を超えています(出典:パーソル総合研究所「人事評価制度と目標管理の実態調査」)。また、Job総研が2025年に就業者391名を対象に実施した調査でも、69.6%が「人事評価に不満を感じた経験がある」と回答しています(出典:Job総研「2025年 人事評価の実態調査」2025年)。
シートの整備と並行して、運用面の仕組みを整えることが形骸化防止の核心です。以下の3つのルールが定着のカギになります。
- 月次・四半期ごとの中間レビューを実施する
- 環境変化に応じて目標を柔軟に修正する
- テンプレートや記入ノウハウを社内で一元管理する
1. 月次・四半期ごとの中間レビューを実施する
リクルートマネジメントソリューションズの2024年調査では、管理職が「難しい」と感じるマネジメント業務の1位は「メンバーの仕事に向けたやる気を高めること」で56.0%でした(出典:リクルートマネジメントソリューションズ「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査」2024年)。中間レビューは、この課題に直接働きかける仕組みです。
中間レビューで確認すべきポイントは3点です。「現時点での進捗状況(計画対比)」「目標達成を妨げている障害の有無」「上司から提供できる支援・リソース」の順に対話を進めると、短時間でも実質的な面談になります。所要時間は15〜30分が目安です。
中間レビューを定例化するには、カレンダーへの事前登録が最も確実な方法です。期初に全期間分の日程を確保してしまい、よほどの事情がない限りキャンセルしない運用にすることで、「忙しくてできなかった」という事態を防げます。
2. 環境変化に応じて目標を柔軟に修正する
「目標は一度設定したら期末まで変えてはいけない」という考え方が、形骸化を助長するケースがあります。市場環境の急変・組織改編・担当業務の変更など、期中に想定外の事態が起きたとき、修正できないルールになっていると「もはや意味のないシート」として放置される原因になります。
目標修正が妥当なケースとして、主に次の状況が考えられます。事業戦略の大幅な変更、担当顧客や担当製品の変更、自然災害・感染症等の外部ショック、設定時に入手できなかった情報が後から明らかになったケース、などです。
修正する際のプロセスとして、「修正理由」と「修正後の目標・評価基準」をシートに記録し、上司と合意形成したうえで変更します。変更の痕跡を残すことで、期末評価の根拠として使えます。
3. テンプレートや記入ノウハウを社内で一元管理する
目標管理シートの運用でよく起きる問題の一つが、テンプレートが個人のPC内や部門の共有フォルダに散在し、組織全体でフォーマットがバラバラになることです。部門ごとに項目の定義が違う、記入レベルに大きな差があるといった状態になると、人事部門がシートを集約・比較する工数が膨らみます。
また、「うまく書けた目標の記入例」「高評価を受けた振り返りの書き方」といった好事例が共有されず、各自が毎期一から考え直す状況も組織全体の損失です。こうした記入ノウハウが蓄積・検索できる環境があれば、特に新入社員や目標設定が苦手なメンバーの負担を大幅に軽減できます。
社内wikiやナレッジ管理ツールにテンプレートと記入ガイドを一元化するアプローチが、この課題への現実的な対処です。テンプレート機能によりフォーマットの統一と全社共有が可能になり、全文検索機能を使えば「営業職の記入例」「エンジニアの振り返り例」のように必要なノウハウへすぐにアクセスできます。フォーマットの散在と記入例の属人化という2つの課題を同時に解消できます。

目標管理シートの活用まとめ

目標管理シートを機能させるための要点を整理します。
- 基本テンプレート:「目標」「評価基準」「達成期限」「行動計画」「結果」「振り返り」の6項目を揃える。評価基準は期初に上司と合意しておくことが前提
- 書き方4ポイント:SMARTの法則で曖昧さをなくす、プロセス指標で定量化の壁を突破する、目標数を2〜4個に絞る、組織目標とのつながりを明記する
- 運用3ルール:中間レビューを定例化する、環境変化に応じて目標を修正する、テンプレートとノウハウを一元管理する
- 職種別記入例:営業・事務/管理部門・エンジニア・企画/マーケ・管理職の5職種について、目標・評価基準・達成期限・行動計画をセットで設定する
私たちが提供するNotePMでは、本記事のテンプレートをそのままページ化して全社共有でき、全文検索機能で過去の記入例や好事例にもすぐアクセスできます。30日間の無料トライアルはクレジットカード登録なし・自動課金なしで利用できます。
テンプレートは「書いて終わり」にした瞬間から形骸化が始まります。月次・四半期の中間レビューと組み合わせて初めて、シートが評価ではなく成長の道具として機能します。本記事の職種別記入例を参考に、自分の業務内容と組織目標に合わせてカスタマイズして活用してください。
