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E02-3-持続可能なデータ収集の仕組みの作り⽅

Published on 03/07/2023 10:16
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JIPAD

JIPAD

Japanese Intensive care PAtient Database

日本ICU患者データベース

E02-3.持続可能なデータ収集の仕組みの作り⽅

Version 2.0

変更日:2023年6月12日

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ICU 日本集中治療医学会機能評価委員会

JIPAD ワーキンググループ











Japanese Intensive care PAtient Database

更新履歴

日付 Ver. 更新者 変更内容
2016/6/28 1.0.0 新規作成
2023/6/12 2.0 ICON 画像更新等

持続可能なデータ収集の仕組みの作り⽅

〜JIPAD への参加を検討されている皆様へ〜

JIPADの参加施設数は年々増加しており、その規模は ANZICSなど海外の有名な データベースに匹敵するレベルに達しようとしています。しかし、クエリ制度やサイトビジットが終了後しばらくしてから参加を中⽌する施設が が 1 割程度存在することも事実です。参加を中⽌した施設にはいくつかのパターンが⾒られます。

・ 周囲の協⼒が得られず、JIPAD 責任者⼀⼈が奮闘したが継続が困難となった。

・ 周囲の協⼒は得られたが、全体の業務量が⼤きく、周囲から反対された。

・ 上司に⾔われ参加したが、熱意が継続しなかった。

・ JIPAD 責任者が退職などにより施設からいなくなり、仕組みが維持されなくなったか、残ったスタッフが興味を失った。

また、持続する仕組みが構築できず、数回のデータ登録後に“幽霊部員”となった施設もいくつか存在します。貴施設がそのような事態に陥らずに、能率的かつ正確なデータ収集を持続的に

⾏う仕組みを構築していただくため、参考になる情報を提供することが本⽂章の⽬的です。やや⻑⽂となりますが、ご⼀読いただければ幸いです。

・総論1:部⾨システム/電⼦カルテの JIPAD 機能の導⼊(⾃動取り込み)

  当たり前のことですが、全てを⼿作業で⾏うよりも⾃動取り込み機能を利⽤した⽅が精度・能率においてレベルの⾼い仕組みが構築できます。現状でそのような機能をお持ちでない場合は、改修のタイミングを狙って導⼊を検討することを強くお勧めいたします。逆に、そのような機能がない状況ではデータ収集を持続するのは容易ではないので、導⼊まで参加を⾒合わせることもご検討ください。導⼊時には仕様書に盛り込む必要があります。御相談いただければ JIPADからアドバイスさせていただきます。

 ⾃動取り込みは便利ですが、特に導⼊初期には不備がつきものなので、根気良くベンダーに修正を依頼してください。ベンダーの対応が遅いなど問題がある場合は JIPAD にご連絡ください。また、電⼦カルテの JIPAD 機能は部⾨システムのそれに⽐べ不⼗分な点が少なくないため、情報収集が難しい項⽬については他の⽅法を考える必要があります(⼀部紙運⽤など)。

・総論 2:⽇常業務の変更

 別紙の「電⼦カルテ・部⾨システムからのデータの⾃動取り込みにおける注意点」を参考に、⽇常業務の習慣の変更を⾏ってください(https://www.jipad.org/guide?view=article&id=107:data12)。特に、⼊退室⽇時、バイタルサイン、⼈⼯呼吸の開始終了⽇時などは習慣の変更が必要となることが多いです。この時、データ収集のためではなく、正しい記録を残すためであることを強調しましょう(実際その通りですし)。また、指⽰や経過表などに間違いを⾒つけたら書いた⼈に指摘する(疲れますが)、⾃分でもどんどん直すことも重要です。

・総論3:データ収集業務の習慣化

 例えて⾔えば、データ収集は「夏休みの宿題」と同じです。後回しにして溜めたりせず、定期的に⾏うことが持続する仕組みの構築には⾮常に重要です(毎⽇やる、曜⽇と時間を決める、退院時転帰は⽉ 1 回、など)。

 また、時間が経つと患者さんの情報を忘れてしまい、カルテなどを読み直す必要がでてきますが、できる限りリアルタイムに⼊⼒や確認作業を⾏うと精度も能率も向上します。特に収集者が ICU の医師やナースの場合、例えば、1:⼊室時、2:24 時間経過後、3:在室中適宜、4:退室時、といった感じで⾏うとよいと思います。

・総論4:業務の分担

 参加を中⽌した施設では⼀部の⼈の負担が多かったことが主要原因の⼀つになっています。
⼀⼈で抱え込まず、できるかぎり周囲を巻き込みましょう(同僚医師、ICU ナース、医師事務補
助など)。特に⾃動取り込み機能が導⼊されていない場合、周囲の協⼒が得られない時はそもそも JIPAD への参加を延期した⽅がいいくらいです。少なくとも医師事務補助の協⼒は必須でしょう。しかし、メリットなしに他者の協⼒は得られにくいかもしれません。

JIPAD の参加のメリットとしては、

#ICU 台帳など、これまで⼿作業で⾏っていた業務が不要になる

#患者情報がサマライズされているため研究などの使⽤が容易

#10 万単位の症例データが研究⽬的に利⽤可能

#他施設との⽐較ができるベンチマーク情報の提供(施設レポート、動的レポート)

#学会提出書類の準備の簡略化

#業務内容の改善資料として活⽤できる

#⾃施設のデータで⽇本の集中治療医学に貢献できる
といったところが挙げられます。

Local / Internal / Gateway 以外の台帳がある場合は、できる限りその機能を ExJIPAD/ Gatewayに移⾏し、使⽤をやめましょう。そうすることにより業務が減るだけでなく、JIPAD の利⽤価値が⾼まり、他者の協⼒も得られやすくなるはずです。

・総論 5:必要以上に精度を求めない

 JIPAD の責任者となられる⽅は真⾯⽬な⽅が多く、カルテや経過表を隅々まで確認したり、データに間違いがないよう複数回のチェックをしたりされることが少なくありません。しかし、精度と⼿間との天秤を意識しないとデータ収集の持続が困難になりえます。⼊⼒後のデータチェックは 1 ⼈が 1 回⾏えば⼗分ですし、Internal / Local には秀逸なエラー検出機能がありますので、ご活⽤ください。

・総論 6:利便性

 Local はイントラネット内で共有(通常は 5 台の PC まで)が可能ですし、Internal は電⼦カルテの⼊った PC に導⼊可能なように設計されています。その点を踏まえ、データ収集⽤の PC をどこに設置するか、FileMaker Pro を何台にインストールするか、電⼦カルテと JIPAD ⽤のPC を並べられるか、アプリを切り替える必要があるならデュアルモニタにする、といった PC環境は思いのほか能率に影響します。

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各論1:JIPAD機能のある部⾨システム/電⼦カルテを使っていない場合

 データ⼊⼒⽤紙を活⽤しましょう。下記からダウンロード可能です。    
https://www.jipad.org/facilities-guide02

 具体的な運⽤⽅法の案としては、まず⽤紙が⼊室時に作成される仕組みを作ります(⼊室時の書類⼀式に含めるなど)。そして、在室中はデータ⼊⼒⽤紙をベッドサイドに置いておくことで、複数の⼈が⽤紙にアクセスすることができます。総論 4 を参考に、協⼒者を得て業務分担するようにしてください。退室後、紙が回収される仕組みを作り、医師事務補助の⽅に Local へのデータ⼊⼒を依頼してください。
 そのデータを JIPAD 責任者が確認します。退室後から時間が経つと忘れてしまうので、他業務より優先順位を⾼くするとよいと思います(これも“夏休みの宿題”ルールです)。これ以上の能率向上はできないと思うまでデータ収集の仕組みの改善を⾏いましょう。それでも⾃分の負担が⼤きいと思われる場合は、JIPAD への参加を延期することも検討してください。

各論 2:ICUに複数の専属医師がいて、JIPAD機能のある部⾨システム/電⼦カルテを使っている場合

 スタッフ医師内で業務の分担をしましょう。医師事務補助などの協⼒を得ることは⾃由ですが、仕事量的には下記が正しく⾏われれば医師だけで⼗分対応可能な業務量になります。
具体的には、スタッフ医師は部⾨システムに作成した JIPAD ⽤の欄を⼊⼒します。退室後などに⼊⼒するのではなく、患者在室中に適宜⼊⼒するよう指導してください(総論 3)。単に「みんなでやりましょう」ではなく、担当を明確にした⽅が円滑に進みます(受持患者、当直医、RRS 担当など)。多くの部⾨システム/電⼦カルテの JIPAD 機能は CSV でデータを出⼒するので、Internal もしくは Local でこの CSV ファイルを取り込みます。⼊室管理番号は必ず 1 ⼊室で固有の番号となります。同じ⼊室管理番号の CSV を流し込むと空欄の部分だけ上書きされることを知っておきましょう。場合によっては流し込み後に⾎液ガスデータなどを整形する必要があります。
 JIPAD 責任者は部⾨システム/電⼦カルテ内でデータのチェックを⾏ってください(その⽅が修正が容易なため)。Internal に登録後、データの内容は確認せず(⼆度⼿間はしない、総論5)、エラー(⻩⾊、オレンジ、⾚)だけを確認すれば OK です。最後に、Internal→Local→Global の作業を⾏います。

各論3:フィリップスの部⾨システム(PIMS®/ACSYS®)+ Gateway を使⽤している場合)

 最初の Gateway の作り込みが⾮常に重要です。正確かつ能率的に⾃動取り込みができるように⼗分に検討してください。前任者がすでに担当していて仕組みがすでに存在していたら、仕様書を取り寄せて Gateway の⾃動取り込みの内容を確認しましょう。実際に運⽤されていないと不備な点が多く⾒つかるはずです。
 ⾃動化できない部分は PIMS/ACSYS の患者情報に欄を作成してください。担当を決め、確実にかつ正確に⼊⼒する仕組みを作りましょう。
 JIPAD 責任者は退室後に Gateway の取り込み、確認を⾏い、⼊⼒を”済み”に変更します。可能であれば、ACSYS の保管を保存にする業務は JIPAD 責任者が⾏った⽅が便利です。保存してしまうと Gateway データの確認時に ACSYS で患者検索しないといけなくなるためです。
 ⽉に 1 度、Gateway で退院時転帰を取り込み(付録 1)、Internal にデータを送信します。
Internal は Gateway に⽐べエラー検出機能が⾼いため、Internal ではデータの内容確認はせず(すでに Gateway で終了)、エラー(⻩⾊、オレンジ、⾚)だけを確認します。間違いはGateway で修正してから Internal に再送信してください。これにより Gateway のデータが正確になり、貴施設のデータベースとして使⽤可能になります。最後に、Internal→Local→Global の作業を⾏います。

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付録1:退院時転帰

 絶対に⼿作業でやってはいけません。Local・Gateway には退院時転帰の取り込み機能があります。ほぼ全ての病院で電⼦カルテからデータを出⼒する申請⽅法があるはずなので、⽉ 1 回、その申請を⾏って退院データを⼿に⼊れてください。具体的には、

#先⽉病院を退院し、⼊院中に⼀度でも ICU に⼊室した患者の、

#ID、(⽒名)

#⼊院⽇、退院⽇

#DPC 退院時転帰(できれば、転院と死亡以外を⽣存に変換してもらう)

を CSV もしくはエクセルで出⼒してもらい、それを Local / Gateway に取り込みましょう。

付録 2:ACSYS®の⼊退室⽇時

 予定からベッドマップに移動する時に、デフォルトでは「現在時刻を⼊室⽇時に設定しますか」というウィンドウが出ますが、この機能は使⽤せず、実際に患者が⼊室したら⼊室⽇時を⼊⼒するようにしましょう。また、ベッドマップから保管に移動する時は「現在時刻を退室⽇時に設定しますか」というウィンドウが出ますが、この機能は使⽤せず、「退室⽇時の⼊⼒がありません」というアラートを出して⼊⼒を強制するように変更しましょう。そうすることにより、実際に患者さんが⼊退室した時間が ACSYS に記録されるようになります。

2022 年 5⽉ 24⽇

⽂責:内野滋彦、橋本悟



























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